約束された神ゲー「デス・ストランディング」とは?全く新しい新ジャンル“SSG”の行方
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小島監督による、独立後初の新規タイトル「デスストランディング」。
タイトル公開当初から、世界中で注目を集めた今作。
その世界観やゲーム性は謎のままでしたが、今年に入ってようやく詳細が明るみになった。また、11月1日に公開されたローンチトレーラーでは、作品の根幹となるストーリーの内容が垣間見えるものとなった。
このゲームがなぜここまで注目されているのか。それは、
世界中で名が知られている、小島秀夫監督による独立後初のゲームタイトルであり、これまでのゲームにはなかった新しい要素が詰まった新ジャンルの作品ということ。
「ウォーキング・デッド」で知られる俳優 ノーマン・リーダスや、デンマークの実力派俳優 マッツ・ミケルセンを主要登場人物として起用したこと。
この二つの要因が大きく関わっていると見られる。
小島監督の詳細については別記事で紹介するとして、このゲームの魅力や懸念点、ネット上での反応を紹介していく。
デス・ストランディングによる崩壊
「デス・ストランディング」と呼ばれる現象によって、人々の繋がりは失われ、都市は引き裂かれ分断され、人類は滅亡の危機に。本作では、この現象によって崩壊してしまったアメリカと人々の繋がりと取り戻す「アメリカの再建」を目的に物語が展開されていく。
デス・ストランディング以前・以後の世界
デス・ストランディング以前の社会は、「恩恵と引き換えにすべて監視・管理される共有監視社会」の中にあり、企業や国は、ネットワークに繋がる人間の行動履歴、購買情報といった個人情報と引き換えに、人々の安全を保障し、様々なサービスを提供していた。
かつての人類は飢餓や戦争といった問題に直面していた。ただ、デス・ストランディング以降の人類の本質的な問題は、「必要とされるものが届かないという、配送の問題」である。
アメリカの再建計画
主人公であるサム・ポーター・ブリッジズは、「BRIDGES(ブリッジズ)」の一員であり、新たなアメリカ大統領 サマンサ・アメリカ・ストランド(アメリ)と、同組織の一員 ダイハードマンとともに、アメリカ再建計画を成功させるために動き出す。
アメリは「ブリッジズ第一遠征部隊」を組織して、アメリカ大陸を横断。アメリカ都市連合(UCA)に加入意思がある都市にはスタッフを遺し、3年かけて西海岸にある「エッジ・ノットシティ」に到着。
しかし、エッジ・ノットシティの独立自治を要求し、UCAへの加盟を拒否した分離過激派のテロリスト集団によって、遠征隊は全滅し、アメリは閉じ込められてしまう。
サムは、「Qpid(キューピッド)」と呼ばれる起動装置を使って、大容量通信システム「カイラル通信」を設置し、分断された人々を繋ぎなおすとともに、幽閉されたアメリを救出する旅にでることになる。
全く新しいジャンル「ソーシャル・ストランド・ゲーム」とは
どのゲームにも「アクション」「アドベンチャー」「パズル」など、ゲームジャンルというものが存在する。
本作の企画・脚本・監督・ゲームデザインを手掛ける小島監督は、このゲームのジャンルの位置づけを「ソーシャル・ストランド・ゲーム(Social Strand Game)[以下SSG]」であるとしている。
SSGとは、“全てのプレイヤーが間接的に繋がってクリアを目指すゲーム”のこと。
本作は、先述の通り「荷物を運んで人々との繋がりを拡張していくこと」に重きを置かれているゲームである。
どの荷物を持っていくかを、重量や大きさ、量をマネジメントしたうえで、その荷物を安全な経路を探しながら目的地まで配送することが目的だ。
足場が不安定な地形を通ってしまうと、転んで荷物が落ちてしまうし、川に流されてしまうと荷物も流されてしまう。
どこを歩けば安全な最短ルートなのか、広大なオープンワールドを歩いて探していくのは一苦労。
そもそも、人々が孤立した大陸を横断するって、ぼっちにも程があるたこ
本作では、世界中のプレイヤーを間接的に繋がることによって、これらの問題を解消する。
間接的な繋がりとは
オンラインゲームのように、同じフィールド上に他のプレイヤーがリアルタイムに動いているわけではなく、間接的に繋がっているというのがSSGの特徴。
もちろん広大なマップ上には自分一人しかいないわけだが、マップのいたる所で、他のプレイヤーが設置したアイテムや建物が置いてあったりする。
また、荷物が川に流されてしまったり、どこかへ落としてしまったとき、他のプレイヤーが拾ってくれる。
もちろん、その逆も可能で、他人が落とした荷物を自分が代わりに拾ってあげることも可能。
崖で通れない場所があっても、他のプレイヤーが設置した梯子や橋が自分の世界にも共有され、利用することができる。
これが小島監督のいう「繋がり」になる。
世界中のプレイヤーの建物物や設置物が共有されるとなると、世界が他人の物だらけになるのでは?という懸念も出たが、「時雨(タイムフォール)」と呼ばれる雨が降ると、建築物が溶けてなくなるように配慮されている。
また、他人が設置した建物等が自分の世界に反映されないモードも設定できるようになっており、不必要な場所に設置物があれば、自分の世界から消すことも可能。
豪華キャストを最大限に活用
本作で登場してくる多くの主要キャラクターが、実在する有名俳優。3Dスキャン/モーションキャプチャーといった最新技術によって、肌の質感や動作をリアルに表現している。
特に、主人公サムを演じるノーマン・リーダスは、ドラマ「ウォーキング・デッド」に出演している大物俳優。
ゲーム内の「プライベートルーム」では、装具のカスタマイズができる以外に、「脳みそに焼き付くほど」撮影したというノーマン・リーダスファン必見のアクションが用意されている。
プライベートルームでは、サムを動かすのではなく、カメラを操作してサム(ノーマン)を“眺める”仕様になっている。
ほかにも、デッドマン演じるギレルモ・デル・トロや、クリフ演じる北欧の至宝マッツ・ミケルセンなど、豪華キャストによる演技は映画さながら。
特に、クリフ役のマッツ・ミケルセンと小島監督の対談も挙げられているのでチェックしてみてほしい。
映画「マッドマックス」で知られる、映画監督ジョージ・ミラーは、「デス・ストランディング」をこう評価している。
斬新なアイディアや変化がなければ 文化の変革は起こらない。
(中略)
本作はとてもラジカルで万人が理解できるとは限らないが、作品やメディアに変革をもたらすことは間違いない。
IGN-JAPAN 「『マッドマックス』の監督が『DEATH STRANDING』を絶賛!」より
本作の制作期間は約3年半。ゲームの新規タイトルを作り上げる上では非常に短い製作期間だ。ましてや、コナミから独立し、人員も何もかも0からの状態で始めたことを考えれば、なおさらだ。
小島監督は、製作する過程で、ゲームエンジンを決めるときや銀行からお金を借りるとき、俳優へのオファーなど、あらゆる場面で「あの小島監督だから」というフォローがあり、各所で“繋がり”を感じたという。
ゲーム要素
最後に、本作のゲーム要素について、「一体どういうゲームなのか」について具体的に見ていく。
サムの能力とBBとその敵
まず押さえていきたいところは、サムの能力とBB、BTについてだ。
BBとは「ブリッジ・ベイビー」のことで、サムが外に出るときは必ず専用のカプセルに入れて連れていく。
BBの能力は“BTを視認”できるようにすることである。BTとは、時雨が降っている場所に現れるあの世の存在。通常の人間には見ることが出来ず、サムは察知することができる。
このBBと繋がることにより、BTの存在を察知・視認することができる。
BTにはいくつか種類があり、ゲイザー・ハンター・キャッチャーの3種類が確認されている。
時雨が降るとゲイザーがプレイヤーの呼吸や足音を感知。見つからないためには、呼吸を止めてBTを避けながら通り過ごさなければならないが、息をしてしまうとキャッチャーがプレイヤーを追ってくる。
もがいて脱出することもできるが、出来ずに引きずり込まれてしまうと、キャッチャーと呼ばれるBTとの対戦が始まる。
この戦いに敗れてしまうと、対消滅(ヴォイドアウト)と呼ばれる現象が起き、周辺がクレーター化してしまう。
サムは特殊な体液を有しており、その体液は武器となり、BTに対抗する術となる。
EXカプセルと呼ばれる、サムの体液、老廃物、排泄物などを疑似加工したカプセルを用いる。
ゲームを進行していく中で、ミュールという人の敵と遭遇することもある。
ミュールはプレイヤーを攻撃してくる謎の集団。
荷物を投げることで応戦したり、ボーラガンと呼ばれる拘束道具を用いて回避することも可能。
その他のゲームシステム
運ぶ荷物のレイアウトでは、グレネードや血液パック、アクセサリーといったものも存在。アクセサリーの中には、傘車やテルテル坊主など多種多様で、雨が降りにくくなるといった効果も存在。
装備品には耐久値が存在。靴が壊れてしまうと足にダメージが。レベルを上げることによって耐久値も上がっていく。
プレイしていくと、配送した人々から感謝のメールが送られてきたり、クエスト依頼が届いてくる。
「ドキュメント」項目では、デスストの世界観を掘り下げたテキストを読むこともできる。
ミュージックプレイヤーの再生も可能で、星野源の曲も。楽曲はどんどん増えていく模様。
運びゲーは評価されるのか
ざっと本作を紹介したが、わかる通り本作は「荷物を運ぶゲーム」である。
個人的には、万人受けはしない、人を選ぶゲームだと思う。何せ、まだ誰もプレイしたことがない未知の領域に踏み込んだ作品。
小島監督の作品というだけで、トレーラー公開当初から「神ゲーの予感」といったコメントも多く見られた。つい最近になって、ようやく世界観が明るみになってきて、本作に対する期待も膨らんだ人も多くいると思う。
少なからず、「面白くなさそう」といった類のコメントはなかなか見られなかった。
それだけ、「メタルギア」シリーズの成功が大きかったのかもしれない。
ジョージ・ミラーが言っていた「斬新なアイディアや変化がなければ 文化の変革は起こらない。」は、まさにその通りだと思う。
そのコンセプトが“受けるか受けないか”に関係なく、繋がりという面に重きを置き、ユーザーに問いかける小島監督らしいスタイルは、評価できる点だと思うし、他のユーザーの意見を頼りに購入するかしないかの判断をするべき作品ではないと思う。
斬新で、まったく新しいゲームということだけは確かなこと。
だから、他のゲームと比較して云々というレビューが目立たないことを願うばかり・・